重力は上を向いている?

最初にすべきことはなんでしょうか?

センサの基本動作の確認です!

すでにI2Cの章でやりましたから、加速度計の値をRTTコンソールにプリントし続けるのはできるはずです。LEDの側を下に向け、地面に対して水平に持つとき、なにかおもしろい現象を確認できるでしょうか?

XとYの値は両方とも0に近い値で、Zは1000に近い値となっているはずです。ボードが動いていないのに、加速度がゼロではないとは変です。なにが起きているのでしょうか? 重力に関係している、ですよね? そうです、重力の加速度が1 g1 g= 加速度計が報告する1000)だからです。ですが、重力は物体を下に引くものです。そうするとZ軸の加速度は、正ではなく負であるべきではないでしょうか。

プログラムがZ軸を逆に扱っているのでしょうか? 違います。ボードを回転させて、重力がX軸とY軸に添うように持っても、センサで測定された加速度はつねに上を指しています。

なにが起きているかと言うと、加速度計はあなたが観測する加速度ではなく、ボードの固有加速度を測定しているのです。固有加速度とは、自由落下中の観測者から見たボードの加速度です。自由落下中の観察者は地球の中心に向けて1gの加速度で動いており、この観察者の視点からすると、ボードは1gの加速度で上へ動いている(地球の中心から離れていっている)ように見えます。これが、固有加速度が上を向いている理由です。これはつまり、もしもボードが自由落下していれば、加速度計は固有加速度をゼロと報告することを意味します。家では試さないようにしてください。

物理は難しいですね。先に進みましょう。